NHK NEWS WEB 11/20参議院本会議で首相答弁「桜を見る会」問題

政治

桜を見る会」安倍首相 “招待者推薦にみずから意見” 認める
2019年11月20日 19時20分

総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐり、安倍総理大臣は参議院本会議で、招待者の推薦に、みずから意見を言ったこともあったと認めたうえで、規模の拡大を招いたことは反省すべきだとして、招待者の削減を含め見直しを進める考えを示しました。

この中で安倍総理大臣は、桜を見る会の招待者の選定について、「内閣官房内閣府の最終的な取りまとめのプロセスには一切関わっていない」としたうえで、「取りまとめの前提として、長年の慣行で内閣官房から官邸内や与党にも推薦依頼を行っており、私の事務所もこれまで推薦を行ってきた」と述べました。

そして「私の事務所では、後援会の関係者を含め、地域で活躍されるなど参加にふさわしいと思われる人をはじめ、幅広く参加希望者を募ってきたところだ。私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともあった」と述べ、招待者の推薦に、みずから意見を言ったこともあったと認めました。

そのうえで安倍総理大臣は「長年の慣行で行われてきたことだが、招待者の選定基準があいまいで、結果として数が膨れ上がってしまったのが実態だ。こうした運用を大いに反省し、招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討するとともに、予算や招待人数も含めて、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行うとしたところだ」と述べました。

また、前日夜に行われていた後援会の懇親会について、安倍総理大臣は、2013年以降は毎年開催し、会場は参加者の多くが宿泊するホテルとしていたことを明らかにしました。

一方、2015年は、会場のホテルと参加者の宿泊先が異なっていたことについて「事務的な手違いにより、会場が確保できないことが判明し、急きょ別のホテルに夕食会場を変更したとの事情があったと聞いている。ホテル側と相談し、1人当たり5000円という価格設定になったと承知しており、この夕食会も参加者が実費を支払い、後援会の収入や支出は一切ない」と述べました。

また、懇親会の5000円の会費について安倍総理大臣は「800人規模を前提に、大多数がホテルの宿泊者だという事情などを踏まえ、ホテル側が設定した価格だ。価格分以上のサービスが提供されたわけでは決してない」と述べたうえで、会費は参加者が、安倍事務所の職員を通じてホテル側に支払い、事前の支払いはなかったと説明しました。

さらに安倍総理大臣は、懇親会の主催者はみずからの後援会だと説明し「各種の段取りは、私の事務所の職員がホテル側と相談を行っている。事務所に確認した結果、その過程でホテル側から明細書等の発行はなかったとのことだった。後援会としての収入・支出は一切ないことから政治資金収支報告書への記載は必要ないものと認識している」と述べました。
官房長官「基準を明確化しプロセスを透明化」

官房長官は午後の記者会見で「桜を見る会」の招待者について、「問題があれば招待されないことはある。詳細については控えたいが、社会的な常識から逸脱しているなど、基準に合わなければありえると思う」と述べました。

また菅官房長官は、記者団が「安倍総理大臣からの推薦を、内閣官房内閣府の取りまとめの段階で拒否できるのかが疑問で、安倍総理大臣が関与していないと言い切れるのか」と質問したのに対し、「総理が答弁しているとおり、取りまとめのプロセスについて、総理が関与していないことは事実だと思う」と述べました。

一方、菅官房長官は、自身が事務所を通じて推薦した招待者について「例えば、前の年に招待して来た方から『また来たい』とか、業界団体で『何人かで行きたい』とか、国会の中で『何人か入りたい』とか、要請を受けたら事務方に回していた」と述べました。

そして菅官房長官は今後の見直しに関し「さまざまな指摘がある中で、基準を明確化し、推薦プロセスを透明化し、人数についても1万人を超えないようにするとか、予算も含めて一度立ち止まって検討し、国民から見て『なるほどな』となるようにしたい」と述べました。
自民 岸田政調会長「説明責任果たすべく努力を」

自民党の岸田政務調査会長は記者会見で「国民にさまざまな疑問や疑念があるなら、引き続き丁寧に説明していくことが大事だ。政治の信頼を取り戻すため説明責任を果たすべく努力してほしい」と述べました。
自民 石破元幹事長「いろんな疑問 払拭が必要」

自民党の石破元幹事長は記者団に対し「安倍総理大臣は『反省している』と言っており、何に反省をしているのか、誠実にお述べ頂けると思う。政治資金収支報告書を訂正することはよくあることで、きちんと法的にもいろんな疑問を払拭することが必要だ」と述べました。
公明 石田政調会長 推薦1000人「ちょっと多いのでは」

公明党の石田政務調査会長は記者会見で「桜を見る会」のことしの招待者のうち、安倍総理大臣からの推薦が1000人程度だったことについて、「ちょっと多いのではないかと思う」と述べました。

また招待者の選定について、「社会で頑張っていることが認められて呼ばれた人からすれば、そうではない人も呼ばれていると、落ち着かない気持ちになるかもしれず、基準ははっきりさせたほうがいい」と述べました。
立民 福山幹事長「驚きと疑問の連続」

立憲民主党の福山幹事長は国会内で記者団に対し「驚きと疑問の連続だ。安倍総理大臣は参議院予算委員会で『招待者の取りまとめなどには関与していない』と明言していたのに、きょうは『事務所から相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともあった』と、全く逆の答弁をした。国会で虚偽の答弁をしたことに強く抗議したい。税金を使って後援会などをもてなしたことになり、徹底的に問いただしていかなければならない」と述べました。
国民 玉木代表「首相の以前の発言 虚偽答弁だ」

国民民主党の玉木代表は記者会見で「安倍総理大臣の『招待者の取りまとめなどには関与していない』という以前の発言は虚偽答弁だ。総理大臣官邸や与党関係者などからの招待者が6割を占めるなど会の趣旨が形骸化しており、権力や税金の私物化だという批判は免れない。安倍総理大臣は国会で明確に説明すべきだ」と述べました。
維新 馬場幹事長「行財政改革の点からも逆行」

日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で「これまでの政府の説明は完全なものではなく、整合性がとれていない点もある。関係者から一定の説明を受けたあとは、問題を深掘りするよりも改善していくことが重要だ。税金を使って、ごく一部の人を招いてイベントをやることは行財政改革の点からも逆行しているので廃止にすべきだ」と述べました。
共産 穀田国対委員長「私物化の実態 一層明確に」

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で「安倍総理大臣の昭恵夫人からも推薦があったことが分かり、私物化の実態が一層明確になった。また、安倍総理大臣が『関与していない』としていたのが虚偽答弁だったことも分かり、疑惑は深まった。さまざまな法律違反の可能性が出てきたので、野党でさらに追及していく」と述べました。