「クレプトクラート=泥棒政治家」と安倍首相

「クレプトクラート=泥棒政治家」と安倍首相

世界に広がる厳しい目

塩原俊彦 / 高知大学准教授

2019年12月09日(論座・RONZAより抜粋)

 

なぜ安倍首相がクレプトクラートと考えられるかというと、「桜を見る会」に後援会関係者を招待し、公金で飲み食いさせたからである。

   この行為自体は公職選挙法(199条の5の2)にある、「何人も後援団体の総会その他の集会又は後援団体が行う見学、旅行その他の行事において選挙区内にある者に対し、饗応接待をし、又は金銭若しくは記念品その他の物品を供与してはならない」という規定に違反している可能性が濃厚だ。これに加えて、その供与を、血税を使って行わせたという「税金泥棒」の嫌疑が加わっている。まさに、「りっぱなクレプトクラート」と言われても仕方がないのではないか。

   しかも、この泥棒行為の立証を困難にさせるために、内閣府の官僚が招待者名簿を廃棄するといった証拠隠滅行為までしている可能性がきわめて高い。

(中略)

資金洗浄を防止する国際機関の金融活動作業部会(Financial Action Task Force, FATF)は、その地位や影響力のために多くのPEPが資金洗浄という犯罪や、腐敗や贈収賄を含む関連犯罪を行ったり、同じくテロリストへの資金供給に関連する活動を行ったりする目的で潜在的にその地位を濫用しうる立場にいるとみて、PEPを監視対象とすることに決めた。

 ただし、PEPは各国にとっての外国人に限定している。外国要人だけを監視対象としているのだ。FATFは1990年に「40の勧告」を出したのだが、その「40の勧告」の6項目にPEPが登場する。

(中略)

日本でも2019年4月1日施行の「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令」(第12条第3項)で、「外国の元首及び外国の政府、中央銀行その他これらに類する機関において重要な地位を占める者として主務省令で定める者並びにこれらの者であった者」や「前号に掲げる者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。)」などをPEPとしている。いずれも「外国PEP」を対象とするものだ。

   これは、日本国内のPEP(傑出した公的役割をもつか、あるいは、そうした役割を委託された個人)を対象に日本国内の金融機関などが監視対象とするものではない。ただし、日本国内のPEPは、外国では外国PEPとして監視対象になることを意味している。重要なことは、安倍首相も昭恵夫人も私人、公人の別なくPEPに該当し、厳しい目で見られているという事実である。